紆余曲折

いろいろあった。

着地

 無事に会社との面談が終わった。「面談」というか今後の事務連絡がメインだったので「面会」の方が表現としては近い。結論から言うと、会社にはまだまだお世話になりそうである。規模が大きいと懐も深いようである。

「厳しいことを言います」という前置きから面会は始まったのだが、内容自体は温情に溢れていた。おそらく今回会社が一番伝えたかったであろうことは「希望通りの配属は叶わない」という条件である。この旨の言葉を何度も聞かされた。

既に同期は仮配属が終わっており、配属面談を受けてないぼくは所謂「余り物」の席しか残っていないとのことだった。元々就活をしていた時点で希望通りの配属になるとは微塵も思っていなかった上、特段やりたいことも無かったのでこの条件で構わなかった。ちなみに一番仲が良い同期の配属先は全く希望していないところだったらしい。ぼくとあまり変わらないのではないか。

また、理系として採用しているため、文系のスタッフ職や営業企画職に回すことは無いとも告げられた。そもそもこんな人間を営業に回すのも会社の恥だろうし、頭のいい人事部の方々はそんな愚策は取らないだろう。

 

 面会は人事部の採用部門の部長と、労働者部門の部長とその部下の方々と行った。部長2人と顔を突き合わせるのはなかなか無い経験だろう。部長のうち1人は50歳くらいの女性で、笑顔が素敵な上流階級のマダムを絵に描いたような人である。

この方とは失踪前の面談でも会っており、酷く心配してもらった。ぼくとほぼ同年齢の子供がいらっしゃるようで、その子とぼくが重なって見えたのかもしれない。今日の面会でも開口一番で「また会えて良かった」と笑顔で仰ってくれた。その後すぐにもう一人の部長から「まずは事務連絡から」と言われていたので、本心に近かったのだろうか。社交辞令であれ、家族以外に身の心配をしてもらったことは無いので少し心が温かくなった。

 

 宙ぶらりんの状態で2週間ほど過ごしていたが、無事に着地することができた。とりあえず元の人生のレールに戻ったという感じである。周りはもう出発してしまっているのだが。まぁ遅れはそのうち取り戻せるだろう。そこまで悲観することもない。

一番驚いたことは吃音症が会社にバレたのに、それに何も触れられなかったことである。ぼくが読んだネットの書き込みには、自称人事部の人間の「吃音の人間は雇いません」や「会社が把握した時点で何かしらの理由で辞めてもらう」というものがちらほら見られた。ある程度これらの書き込みを信じていたのだが、どうやら世間は違うようである。試用期間で問題行動を起こした人間のクビを切るのは簡単だろうから。

ネットの情報をはじめ、あらゆる情報には疑ってかかっているのだがこと吃音に関してはガードが甘いような気がする。というのも情報の絶対量が少ない上に、この障害に関して酷くコンプレックスを抱いているからである。弱い人間は何にでも縋るものだ。長生きしたい中高年が水素水にハマるように、オタクが声優の純潔を信じるように。

まずはコンプレックスの解消から少しずつ取り組みたい。複雑に絡まりあったイヤホンを直していくような作業である。もっと強い人間になりたいものだ。