紆余曲折

いろいろあった。

幕間②

 実家に帰ってきた。映画でも見て昼過ぎに帰ろうと思っていたが、妻から実母が興奮状態になっていると聞いて起床後すぐに帰った。実母は泣いていた。初めて親の泣いている姿を見た気がする。

「全然知らなくてごめん」と最初に言われたが、隠してたんだからわかるわけないだろう。知能指数はぼくの方が高いんだ。ぼくが隠そうと思ったら、いくら母親とはいえ超能力でも使わない限りわからないだろう。自分を責めている実母は見るだけで痛々しかった。

実母は小学校の教諭である。しかも特別支援学級の。自身の子供の悩みをわかってやれなかったのは、母親としても教師としても自分を許せなかったのだろう。なんだか申し訳ないことをしたなぁ。

 

 警察から事情聴取を受けていた中学の友人とも話した。流石10年以上付き合いのある友人である。ぼくが文系に進まなかったのを昔から疑問に思っていたらしい。知能のある人間は本質を見ているものだ。ハニートラップにも引っかから無さそうだ。いやそういうのに免疫無さそうだから逆に引っかかるのか。

その後は会社からの言伝を親から聞いていた。とりあえず今週いっぱいは休んでいいらしい。配属もぼくの希望通りのところにしてくれるそうだ。なんでそんなに良くしてくれるんだ。本当に謎過ぎる。ぼくが聞いていた「企業」は利益の出ない社員はすぐクビにするはずなのだが。

吃音に配慮してくれ、さらにこの温情である。完全に辞める気でいたのだがちょっと揺らいでしまった。幸い、来週の頭に返事をすればいいとのことなので少し考えてみることにした。

 

 会社や世話をかけた友人からは特に文句は言われなかった。人間の持つ知性の奥深さに触れた。一方、義両親は気を悪くしていたらしい。直接的に迷惑をかけたわけでは無いが実の娘である妻に心労をかけた挙句、仕事を放棄するという妻子を持つ大人としてあるまじき行為に憤りを感じたらしい。ごもっともである。

思っていたよりも周囲の人との関わり方が変わっていない。長い付き合いのある友人は障害をある程度理解していたし、それもそうか。なんだか随分と長く一人相撲を取っていた気がする。夕方に電話した妻からは頭はいいけど馬鹿と言われた。確かに馬鹿なのかもしれない。もっと賢く生きたいものだ。